北海道の南西日本海沿岸では、磯焼け現象が深刻な問題となっている。磯焼け現象に関しては多くの研究がなされ、その持続要因としてウニの摂餌圧が重要であることが明らかにされている。このように磯焼け地帯において、海藻群落を形成するためには、ウニの侵入・摂餌を防止する必要がある。そこで、波動によって振動する人工海藻の揺動効果に着目し、冬期から春期に、角の多い人工海藻に効率的にコンブ胞子を着底させその幼芽期はウニの摂餌から守り、春期から夏期に、コンブは成長し藻場が形成され、成長したコンブは海底面に倒れ、ウニの摂餌による磯(人工海藻)掃除が行われ、藻場の創出とウニの飼育が両立するような方法について検討する。[*]本研究では、揺動人工海藻のキタムラサキウニの挙動への基礎的知見を得るため、ウニの揺動人工海藻への這い上がりに対する流速振幅、人工海藻の揺動振幅、人工海藻の幅と厚さ、幼芽着生高さ、水温の効果を実験的に明らかにした。その結果、①人工海藻へのウニの遡上は、流速振幅10cm/sで制限される。その時の人工海藻の揺動角は約20度である。②人工海藻への昆布の取付け位置の違いによるウニの遡上個数は、高い方が少ない。③人工海藻の幅の違いによるウニの遡上個数は、単位幅当たりでは同じである。④人工海藻の厚さの違いは薄い方が揺動角は大きいが、ウニが1個遡上すると人工海藻が倒され、揺動効果が失われる。⑤水温が低いほど小さい揺動角でウニの遡上を制御できる。 |