開放性砂浜域に沿岸構造物を建設することは、その周辺に生息する底生生物へ影響を及ぼしており、その影響を把握するために適切な評価手法を得ることが重要である。沿岸構造物は周辺の波浪、流況などの物理環境の変化と、それに伴い底質、水質などの自然(生息)環境を変化させることになる。本研究は、北海道砂浜域における底生生物生態系への物理環境の影響を、港周辺の様々な物理環境下で調査することでその因果関係を明らかにし、今後の環境評価手法の基礎資料とするものである。平成11年度に行った苫小牧東港と石狩湾新港周辺の現地調査から、開放性砂浜域における底生生物の生息と底質および流速との関係について以下のことが分かった。①底質の細粒分含有率と強熱減量は、構造物の遮蔽効果の大きい港内が高い。また流速との関係は、流速が小さい範囲では広く分布するが、流速の増加に伴い減少し収束する。②マクロベントス群集の分布は、構造物の遮蔽効果と水深に関係する。③底生生物における群集の生息要因は、底質および流速から評価できる。また群集と構成種の分布パターンが概ね確認できた。④調査結果から環境指標種の生息要因は、泥底域に生息する種は流速に依存し、砂質底域に生息する種は底質に依存する。 |