河床形態の洪水時の変遷は流路の有する形状抵抗を大きく変動させる。このような現象は水位の変
動に大きく影響を与えるため、河川防災上、河床形態の変遷を把握することは非常に重要である。し
かしながら、現状では洪水時の河床形状に関する時空間的変遷を示す情報自体が不足しており、これ
までの観測例では浮体や船体に取り付けた音響測深機による縦断的な1次元形状の把握などに限られ
ていた。水面下の地形に対する面的計測法としては、マルチビームソナーを適用した高解像度の測量
が普及しつつあるが、現状では有人による操船が一般的である上に観測機器が非常に高価であり、出
水時における運用は安全面でもコスト面でも大きなリスクを伴う。本研究では、市販の魚群探知機を
応用し、小型の音響測深システムをラジコンボート上に構築することで、安価で低リスクの洪水時河
床形態観測手法を提案する。留萌川河口部を対象に観測を実施し、2012年融雪期および夏期~秋期の
観測結果により留萌川河口部における河床形状の季節的変動について検討を行った。その結果、限界
掃流力を超えた掃流力が継続的に作用した2012年融雪期間においては河床波の発達が確認され、掃流
力の上昇が比較的短時間で収束した当該年度の夏期~秋期出水時には河床波が十分に発達していない
状況が確認された。
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