本論では、北海道の一般国道230号中山峠付近で発生した道路斜面災害について、融雪や降雨と災害履歴との関係について検討した。定山渓~中山峠付近の1998年4月以降の道路斜面災害(通行に影響ない事象も含む)についてみると、16例中11例が融雪期に発生している。今回の検討方法である4時間リセットは表層部の崩壊を対象としており、例えば2000年5月に発生した大規模な地すべり(無意根地すべり)の評価には不向きと考えられる。なお、融雪期は便宜的に、日平均気温が0℃を超えてから、積雪深ゼロとなって20日間程度後までとしている。
東中山と無意根テレメータでの総累計量(累計雨量と融雪換算量の合計)100mm以上の場合と道路斜面災害の対応状況をみると、非融雪期の総累雨量100mm以上の回数は東中山で9例、無意根で8例(1例は99mmを斜字で標記、数には入れていない)である。両テレメータでの累計量に大差なく、計測日時も概ね一致している。これに対して融雪期の総累計量100mm以上は、東中山で26例、無意根で12例と数に相違があり、時期も対応していない場合が多い。
両テレメータでの累計雨量、融雪換算量と道路斜面災害の関係をみると総累計量180mmの線を越えると道路斜面災害発生の危険度が増すことが、いずれのテレメータの記録からも読み取れる。
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