疎水材を用いた暗渠工の排水機能を持続させる上で疎水材の透水性の確保が重要である。筆者らは、暗渠疎水材として用いられた火山礫に作用する劣化因子とその劣化因子が作用する環境下に長期間にわたって置かれていた火山礫の疎水材としての性状を明らかにするため、暗渠工施工後約10年が経過した、空知南部地域の圃場において現地調査等を実施した。結果をまとめると次のとおりである。1)暗渠工の疎水材は、上部では全調査期間に占める浸水延べ時間の割合は0~1%、中間部では4
%を超えることはなかった。調査圃場の中で比較的浸水割合が大きかった圃場の下部でも全調査
期間の20%程度の期間しか浸水していない。また、浸水回数は、上部では多くても1.0回/月、下
部の多い箇所でも2.8回/月であった。2)疎水材の温度は、通年で最高が20数℃、最低でも疎水材が零下にさらされることはなかった。3)観測された泥炭農地の地下水は弱酸性を呈しており、pH は4.7 ~6.5の範囲にあり、平均が5.7であった。4)疎水材として長期供用後の火山礫の透水係数と粒度分布を評価した結果、透水係数は1×10-1cm/sのオーダーであり、粒度分布はフィルター材としての適用範囲内におおむね入っていた。施工後約10年が経過しても透水係数、粒度分布ともに基準値を満足していた。
|