積雪寒冷地では、凍結路面対策として凍結防止剤の散布を行っているが、厳寒時や路面上の雪氷量が多い場合には、凍結防止剤だけでは路面のすべり抵抗値を改善させる十分な効果が得られない場合があり、7号砕石1)等をすべり止め材として散布している2), 3)。
すべり止め材の散布手法としては、すべり止め材のみを散布する「乾式散布」、すべり止め材と凍結防止剤水溶液を混合して散布する「湿式散布」がある。湿式散布は乾式散布に比べて、路面への定着性が高く、散布効果が持続することが知られている3)。しかし、すべり止め材の湿式散布を行った場合でも、車両の走行などによりすべり止め材が飛散し、時間の経過と共にすべり抵抗値が低下する場合がある4)。
海外ではすべり止め材と加熱水の混合散布(以下、加熱水混合散布)が行われている5)が、我が国における適用性を確認するため、佐藤ら6)は低温室内において基礎的な試験を行い、加熱水混合散布の有効性を確認した。その後、切石ら7), 8)は苫小牧寒地試験道路において、実際の散布装置、一般交通を模擬した車両等を用いた試験を行い、すべり抵抗値を用いて散布効果を評価し、加熱水温度40℃、加熱水混合割合30%の場合において良好な散布効果が得られることを確認した。しかし、実際の道路環境下における当該手法の散布効果は不明である。そこで、著者らは2014年に実際の道路上において当該手法の試験を行ったので、試験の概要とその結果について述べる。 |