厳しい財政事情の下でコンクリート構造物の機能増進,長寿命化を効率的に図るには,実態に即した合理的な性能評価法が必要となる.また,構造物を長く使い続けるためのコストの縮減,平準化の要となる維持管理を戦略的に行うには,供用期間における凍害の進行を適切に予測することが大切である.寒地の道路構造物は凍結融解と凍結防止剤の複合作用を受けやすい環境に曝されており,凍害や鉄筋腐食の促進が懸念される.一般に水セメント比などの材料因子や凍結融解回数などの環境因子が凍害の進行に影響を及ぼすことは定性的に広く知られているものの,構造物を対象にこれらの因子の重みを定量的に評価した事例はさほど多くない.そこで,実構造物の凍害の進行に及ぼす材料・環境因子の重みを評価するため,北海道の28橋の道路橋の橋台を対象に凍害調査,コアを用いた各種試験等を行った.そして,スケーリングと相対動弾性係数の予測式を求め,予測式の係数と材料・環境因子の関係を回帰分析により調べた.ばらつきはあるが,スケーリング予測式の係数に及ぼす各因子の重みは概ね評価できた.一方,相対動弾性係数は,因子として圧縮強度,気泡分布,凍結融解に着目したが,良好な相関は示されず,例えば夏期に作用する乾燥・乾湿など,今回着目した因子以外の因子が大きく影響していることが示唆される結果が示された. |