積雪寒冷地の樋門コンクリートは、滞雪し易い操作台や後付けの付属物周辺において、凍害による
劣化が発生し易く、特に、部材端部の劣化損傷が著しい。しかし、樋門の付属物周辺におけるコンク
リートは、付属物自身が障害となって調査を実施することが困難な箇所もあり、このような付属物周
辺のコンクリートの劣化状況を適切に把握する点検方法は確立されていない。
本報告では、付属物の固定に多く用いられている拡張型の打込みアンカーの定着強度とコンクリー
トの凍害劣化の程度との関係に着目し、トルクレンチを用いたアンカーのナット締付けトルク値から、
樋門コンクリートの凍害劣化の程度を評価する点検技術について、室内試験と実際の樋門コンクリー
トでの試験調査による検討を実施した。
その結果、打込みアンカーの定着強度とコンクリートの凍害劣化の程度には相関が見られ、また、
打込みアンカーの定着強度とナット締付けトルク値にも相関が見られた。このことから、樋門コンク
リートの付属物のアンカーをトルクレンチで点検する技術を用いることにより、点検が困難な付属物
周辺のコンクリートの凍害劣化の程度を評価することが可能であることがわかった。
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