我が国では、昨今の厳しい財政事情によって道路の維持管理費が削減され、冬期道路管理において
も一層の効率化が急務とされており、その一環として凍結防止剤のより適正な散布が求められている。
このような中、作業経験が豊富なオペレータ(以下、熟練オペ)によって現地での散布作業が行われて
いるが、熟練オペがどのような情報を基に現地の路面状況判断を行っているのか未解明な部分が多い。
また、近年は熟練オペの高齢化や離職が進んでいる他、新たなオペの確保や育成も困難になっており、
今後、経験の浅いまたは経験の無いオペ(以下、未熟オペ)が作業を行うことになれば冬期路面管理作
業の質の低下が懸念される。
著者らは、凍結防止剤散布作業においてオペの熟練度に左右されず、的確な状況判断を可能とする
ための支援技術を構築し、冬期路面管理作業の正確性の確保および向上に資することを目指している。
そこで、本研究では凍結防止剤散布作業時における熟練オペおよび未熟オペの路面状況認知、判断、
散布作業の正確性および主観的メンタルワークロードを計測し、両者の違いを把握するとともに、車
内に搭載した情報端末による情報提供がオペの路面状況認知、判断、散布作業の正確性向上および主
観的メンタルワークロードの改善に寄与するか否かを調べた。本稿では、当該研究でこれまで得られ
た結果と今後の展望について述べる。
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