平成28年8月17日から3個の台風が北海道に上陸し,その後,続いて前線と台風が接近するという事態になり,歴史的で記録的な豪雨に見まわれたことで,道東をはじめとして河川堤防からの越水や決壊による氾濫,道路の崩壊や落橋など大惨事となった.そして直ちに被害調査が行われ,土木学会や地盤工学会・地すべり学会の調査団が報告書として,今回の気象変動の特徴や洪水および決壊した経緯,要因などが現地踏査や解析などにより報告された.そのようななかで,北海道開発局では,『平成28年8月北海道大雨激甚災害を踏まえた水防災対策検討委員会』が設置され,その提言において気象変動を考慮した今後の水防災対策のあり方が明記されており,特に許可工作物の対応として橋台背面の洗掘等による橋梁の被災要因を分析して有効な対策の検討が急務,とある.今回の被災でもとりわけ道路交通網の被災は,地域の社会的影響が大きく日常生活にも影響を与え孤立集落を生む重大な損害となる.よって,本研究では道路交通網における重要構造物である河川に架かる橋梁の橋台背面盛土の保全対策の構造に着目した.今回の洪水レベルに相当する河川整備基本方針における超過洪水、いわゆる自然現象の降雨に起因して発生する計画規模を超える洪水外力に対応可能な盛土構造の新技術について,平成28年8月豪雨で発生した橋梁の被災状況を分析してその被災要因から変状メカニズム,恒久復旧や予防保全に寄与できる対策工技術を考案するために検討した. |