平成30年北海道胆振東部地震では、圃場の被害として収穫間近の圃場への土砂流入や圃場そのものの崩壊などが発生した。本報告では、被害圃場の広域的な分布状況の確認および現地調査結果について述べる。
被害圃場の広域的な分布状況の確認は、国土地理院のホームページで公開されている震災後の航空写真を用いて行った。現地調査は、圃場を車で巡回し、車中から確認できた被害圃場で実施した。
航空写真を確認した結果、圃場の被害は3種類に分類できた。最も多い被害は、圃場近傍の地山斜面が崩壊し、その土砂が圃場に流入しているケースである。次に多い被害は、圃場が崩壊したか、圃場に亀裂が生じているケースである。その他の被害は、圃場の一部が隆起しているケースである。
これら3種類の被害圃場について現地調査した結果、圃場に隣接する地山が斜面崩壊した地点では、圃場内に粗粒質の土砂および樹木が堆積していた。この地域は樽前山、恵庭岳を噴火源とする粗粒質火山性土が堆積しており、今回の地震により、風化が進んでいない粗粒質火山性土の層が崩れたと考えられた。圃場が崩壊した地点では、表土直下に粗粒な火山性土が厚く堆積していた。また、圃場内にも多数の亀裂が入っており、余震等による被害の拡大が懸念された。圃場が隆起した地点では、圃場の北側になだらかな斜面の地山が隣接しており、隆起はこの斜面の円弧すべりが原因と考えられた。 |