本稿では、交通状態別事故リスクの空間的評価の方法を開発し、札幌市内の国道網を対象にして季節別・時間帯別のリスク評価にその方法を適用した結果を報告する。この方法では、先ず、交通基本図に交通事故データを割り付けた「交通状態別事故リスク図」と、交通事故リスクの「モラン散布図」を作図する。次に、これらを用いて、リスクが集積するホットメッシュのエリアを抽出する。最後に、そのホットメッシュ内の国道網が「どのような交通状態のときに交通事故対策を施せば効果的・効率的にリスクを低減できるか」を評価する。本方法は、対策効果を周辺メッシュに波及させる可能性があるメッシュを抽出できるという点からみて、交通事故リスクマネジメント
施策の効果的・効率的な実施に資する。例えば、冬季・夕暮の札幌市内国道網の人身事故リスク評価に適用した場合には、一般国道453号で人身事故率が1,000件/億台キロを超える区間はホットメッシュ集積エリアに属するといった結果や、当該エリア内メッシュで正規化リンク交通量100~200台/時且つリンク旅行速度30~40km/時の状態のとき事故対策を施せば隣接メッシュのリスク低減に寄与する可能性があるといった結果が得られる。 |