| 北海道の国道における道路盛土の変状には,台風や前線がもたらす降雨,地震によるものだけでなく北海道特有の融雪水の影響があり,近年の代表的な融雪期の盛土変状事例は,国道230号中山峠付近において,平成24年5月と翌平成25年4月と連続で大規模災害が発生している.平成24年災害を例にとると,発生直前2週間の融雪量が,過去10年間の各年最大融雪量(単位:cm/日・東中山道路TM)の平均値と比較し,約1.5倍を記録していた.このように急激な融雪水が盛土の不安定化に影響を与えたことが分かり,その後の対策工や今後の道路盛土の維持管理にあたっては融雪水の影響を考慮する必要性がある.
既往研究では,過去に発生した盛土変状の融雪に関する分析から,日平均気温が+気温で継続され,積雪深が100cm程度以下となると,盛土や基礎地盤により多くの融雪水や地下水が供給されること,最寄りのTMデータから,7日間の積雪低下量が過去最大値の約6割を超えてくる(融雪指数>0.6)と変状する可能性があり,その際の7日間の積雪低下量は40cm程度であることが分かった.そして,融雪期の変状傾向から特に注視すべき道路盛土の抽出手順やその融雪状況の確認方法を取りまとめた
本研究では,北海道における融雪水が要因となる道路盛土の変状メカニズムの解明や道路の安定性,保全対策のための管理手法等を目的として進めている.本報では,北海道の主要な国道における融雪水が要因で変状が生じたと推察できる道路盛土とその周辺環境について現地調査を行い,連成解析による融雪水が道路盛土に影響を及ぼす際の浸透と挙動について分析した. |