2018年3月9日に嶮淵川で発生したアイスジャムの現地調査結果を実施し、アイスジャムが発生した時間や地点、規模を把握するとともに、河氷変動計算の境界条件となるデータを取得した。次いで、河氷の形成・融解や流下を考慮した1次元河氷変動計算を用いて再現計算を実施し、現地調査結果と計算結果比較した。加えて、背水の効果が河氷の形成・融解や流下にどのような影響を与えるかを把握する目的で数値計算を実施し、アイスジャムが生じる範囲の増減や継続時間を考察した。
主要な結論を以下に示す。
現地調査結果から、出水により流下した河氷が湾曲部に集積し、アイスジャムへ至ったと推察した。
河氷変動計算により、河氷の形成からアイスジャムの発生、そして解氷までを時空間に再現した。
本川の水位が上昇することでアイスジャムが生じる範囲が増加した。と同時に、アイスジャムが解消されるまでの継続時間が増加した。水位が上昇し、流速が低下したことで河氷の形成量が増加したこと、加えて、河氷が滞留し、流下しにくいことが原因と考えられる。
嶮淵川においては、背水の影響を受け水位が上昇することで、アイスジャム発生個所数が増加した。また、複数のアイスジャム発生個所が連結し、1つの大きなアイスジャムが形成される現象が見られた。このことから、アイスジャムが生じる地点や規模を把握するには、背水の影響を考慮する必要があることが分かった。
本川の水位が低い時は、河道内での河氷の形成量が相対的に少ない。したがって、出水による上流からの河氷の供給に起因してアイスジャムが生じる。一方で、本川の水位が高い場合、河道内の河氷の形成量が相対的に多いため、下流での河氷量の増加に起因してアイスジャムが生じる。
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