本稿では、冬期道路において気象や交通が原因で起こる人身事故と物損事故のリスクに関する情報(冬期事故リスク情報)を出発前のドライバーに提供して高事故リスクルートから低事故リスクルートへ交通量を転換させてルート全体のトータルリスクの低減を図るという交通需要マネジメントに着目し、その情報に対する北海道のドライバーの選好構造を調査分析した結果を報告する。具体的には、一般道ルート(一般国道36号)と高速道ルート(道央・札樽自動車)が並行する区間を対象に、道の駅に立ち寄ったドライバーへの聞き取り調査から得た選好データをネスティッドロジットモデルで分析し、冬期事故リスク情報をどのように表現したほうがよいか、情報提供下のルート選択においてドライバーはどのような意思決定をしているか、どのようなドライバーに情報提供は効果的かを考察した。
結果、(1)情報の表現の理解しやすさは確率表現と倍数表現が同程度だが、高いルート転換効果をもつ確率表現のほうが望ましい、(2)一般道ルート利用者に情報提供する場合、一般道ルートのリスク情報のリスク値が高くても、リスク値以外の要因で一般道ルートを選ぶ人がいる、(3)情報を受け取る人が高齢だと、たとえ情報が確率表現であってもルート転換効果は小さくなること、が判明した。 |