2018年9月6日に北海道胆振地方で発生したMj6.7(Mw6.6)の2018年北海道胆振東部地震では、北海道史上初の震度7を記録し、震央北方の厚真町〜安平町の丘陵部において6000箇所超の地すべり・斜面崩壊を発生させた。大多数の崩壊斜面は、丘陵表層にマントルベッディングした樽前火山の降下軽石層(Ta-d)を主体とし、崩壊域北方ではさらに下位の恵庭火山由来の降下軽石層(En-a)および支笏カルデラ由来の降下軽石層(Spfa-1)を伴い、これらの土層が地震動に伴ったスライドあるいはフローとして滑落した(例えば、Yamagishi and Yamazaki, 2018; 広瀬ら, 2018)。一方で、震央付近の日高幌内川では、幅300m、長さ1kmの尾根地形が約350m滑動した大規模な岩盤すべりの事例も発生したが、地震による岩盤すべりの発生規模や分布、地形・地質との関連性の全体像は良くわかっていない。Ito et al. (2020)では地震発生直後の高解像度DEM(0.5m解像度)を用いて、地震で発生したと推定される岩盤すべり地形を判読した結果、その総数が200箇所を超えることを報告した。本報告では、Ito et al. (2020) での判読結果をさらに精査し、岩盤すべりの特徴、分布と地質の関係、地形解析によるすべり箇所の地形特徴の解析を行った。 |