生立木腐朽の発生によりヤナギの倒伏が早められ、ヤナギや他の河畔林植生が更新する。
生立木腐朽は腐朽菌が河畔林に侵入することにより、木部が分解し、樹幹部の強度低下が考えられ、それにより強風・増水により倒伏しやすくなるものと考えられる。そこで筆者らは、
ヤナギの腐朽部位でどれだけ強度が低下しているか、 腐朽部位の大きさが倒伏限界にどれだけ影響するのかについて着目し、ヤナギの健全部位と腐朽部位の強度の違いを明らかにすることと、断面積における腐朽部位の割合とヤナギの倒伏限界との関係を明らかにすることを目的として現地調査を行った。
結果として、ヤナギの腐朽部位では健全部位に比べて強度が
低かったが、変色しているのみで強度低下の見られない部位もあった。非腐朽木に比べ腐朽木の幹折れモーメントは低い値
をとった。腐朽木の断面積における腐朽部位の割合と腐朽木における幹折れモーメントの低下には負の相関が見られたといった結果が得られた。今後、腐朽部位から菌類の分離を行い、腐朽を起こした菌類種を明らかにする、試験地の河川流量を測定し、洪水発生時に腐朽木や非腐朽木が受ける力を算出するといった点を明らかにする必要がある。
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