電線電柱類が沿道景観に与える影響は大きい。特に道路沿線に美しい景観が広がる農村・自然域では、「電線電柱さえなければ…!」という場所が少なくない。さらに、近年は農村・自然域でも電線電柱類が増加し、沿道景観の魅力が大きく損なわれており、無電柱化に対する潜在的なニーズも高い。
現在、無電柱化は市街地を対象とした電線共同溝方式が一般的であり、農村・自然域は需要密度が低いことなどから、対象となりにくい。そのため、農村・自然域では要請者の費用負担により地中化を実施する方法が一般的であるが、電線共同溝に則った基準や施工方法が採用されており、オーバースペックで非効率な設計・施工となることが多い。一方、農村・自然域では、道路環境にあわせた低コストな地中化の手法や、スポット的な無電柱化により景観を向上する手法など、電線共同溝以外の低コストで効果的な手法が可能な場合も多くあるが、そうした手法は十分認識されていない。
そこで本研究では、農村・自然域で無電柱化に取り組む自治体等が活用できる知見の提示を目的として、農村・自然域に適した無電柱化手法の事例を収集・分析し、無電柱化の取り組みやすさを高めるポイントを示す。
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