| 【背景・目的】我が国では、水産資源の回復や生産力向上を促進するため、排他的経済水域において大規模な漁場整備事業が進められており、北海道周辺の沖合域においてもこうした漁場整備の実施が期待されている。本研究では、効率的かつ効果的な漁場整備を進める上で不可欠な人工魚礁の魚類蝟集効果及び魚肉増肉効果を定量的に把握することを目的とし、北海道利尻島沖に設置された人工魚礁周辺におけるホッケの分布と餌料環境を調査した。
【材料・方法】2022年6月2日に、北海道利尻島沖合約10kmの水深90mに設置された人工魚礁群体の周辺において、魚礁区1測点及び対照区1測点をそれぞれ設定し、刺網による漁獲調査を実施し、ホッケの個体数・魚体長・湿重量及び胃重量の測定を行った。同時に測点周辺の動物プランクトンを北原ネット及びノルパックネットを用いて採取し、計数及び種同定を行った。
【結果・考察】漁獲調査の結果、魚礁区において対照区より多くホッケが漁獲され、また、平均湿重量、胃重量についても魚礁区で大きかった。ホッケの餌となる動物プランクトンの出現個体数(水深60~90m)も、対照区より魚礁区で多かった(北原ネット4.8倍、ノルパックネット1.6倍)。魚礁区における出現内訳は、北原ネットではキクロプス目のOithona spp.(Copepodite期)とOithona similisが優占し全体の約半分を占めており、ノルパックネットでは、カラヌス目のPseudocalanus newmaniが全体の約36%、次いでMetridia spp.(Copepodite期)が約27%と優占した。以上の結果から、当該人工魚礁がホッケを蝟集させ、魚類にとって餌料価値の高い動物プランクトンを集める餌料培養効果や魚体の増肉効果を発揮している可能性が示唆された。
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