本研究では北海道志海苔漁港内や周辺の異なる環境中における有害有毒藻類3種(Alexandrium catenella, Karenia mikimotoi 及びHeterosigma akashiwo)を殺滅あるいは増殖を抑制する細菌(増殖抑制細菌: GLB)の分布について調
査した。その結果、漁港周辺の藻場に繁茂した緑藻アナアオサや紅藻ツノマタ、フクロフノリのバイオフィルムから麻痺性貝毒の原因藻類A. catenellaに対するGLBが105 ~107 CFU g-1wet weightと高密度で検出され、藻場周辺の海底泥と礫上のバイオフィルムからもA. catenellaに対する活性を持ったGLBが海藻に準ずる密度で検出された。また、漁港内については、海底泥からA. catenella及び有害ラフィド藻H. akashiwoのGLBが1g当たり104 CFUのオーダーで見出された。漁港及び藻場の海水からは対象とした有害有毒藻類3種に対する活性を持ったGLBが102 ~103CFU mL-1の密度で検出された。一方で、海藻が自生しない砂浜海岸では、海水及び海底泥のどちらからもGLBは検出されなかった。本研究より、海藻が自生する環境(藻場)では、海底基質など周辺環境中にもGLBが広がり分布する事が明らかとなった事から、今後は海藻以外の基質についても視野を広げた上で藻場の有害有毒藻類ブルーム発生抑制機能について評価する事が重要である事が示唆された。 |