| 工事現場を発着する工事用車両の運行ルート上の交通事故を防ぐため，現場事務所では現場内の安全衛生管理体制の下で工事用車両の運転者に対する安全運転管理が行われる．日本建設業連合会の「建設工事に伴う安全運転管理事例集」によると，現場事務所は運行ルート上の事故危険箇所をあらかじめ撮影しておいて工事用車両の運転者に見せたり，その箇所を図示した交通危険マップを工事用車両の運転者に配布したりして注意喚起を図っている．このような安全運行管理手法は工事用車両の運転者が運行ルートで交通事故を起こさないために効果的だが，交通事故に巻き込まれるリスクも同時に減らせられると安全運行管理手法の高度化が図られる．
著者らはタブレット端末に地理情報システムとデータベース管理システムのソフトウェアをインストールし，過去数十年分の北海道内の人身事故・物損事故データ，気象データ，道路交通データ及び道路構造データのクロス検索結果をデジタル道路地図上に表示でき，且つ，指定した2地点の最短経路上の検索結果若しくは指定した交差点を中心とする円内の検索結果を地図上に表示できる交通事故リスク診断支援ツールを開発した．当ツールの開発目的は道路管理者や警察による国道・地方道等の交通事故リスク診断に活用してもらうことだったが，当ツールが有する機能は建設会社による工事用車両運行ルートの安全管理にも活用できると考えられる．
そこで本稿では工事用車両運行ルートの安全管理への活用を想定した当ツールの技術紹介を行うものとし，当ツールが有する機能を説明するとともに，それと同じ機能を建設会社が使用する際にどのようにデータを集めるとよいかについて解説する． |
