| 土木事業で発生する重金属類を含む水の処理には環境負荷や処理コストが生じている.これらを軽減する実現場での浄化処理システム構築に向けて,天然素材である植物繊維に着目した室内浄化実験を行い,これまでph3以下の排水に含まれる重金属等を浄化する効果を確認した.本稿ではph9以上で六価クロム及び砒素,セレンを含む試験水と植物繊維を用いた7日間のビーカーでの攪拌実験と内径50mmのアクリル管での20回の通水実験を行い,重金属等の試験水の濃度と植物繊維の含有量の経時変化を調べた.
攪拌実験の結果,試験水の六価クロム,砒素,セレンの初期濃度0.096 mg/L,0.041 mg/L,0.155 mg/Lは実験終了後0.047 mg/L,0.046 mg/L,0.089 mg/Lとなった.また,植物繊維の総クロム,砒素,セレンの初期含有量9.3 mg/kg,0.1 mg/kg未満,0.1 mg/kg未満は実験終了後14.6 mg/kg,0.2 mg/kg,1.2 mg/kgとなった.
通水実験の結果,試験水の六価クロム,砒素,セレンの初期濃度0.096 mg/L,0.041 mg/L,0.155 mg/Lは実験終了後0.041 mg/L,0.046 mg/L,0.111 mg/Lとなった.また,植物繊維の総クロム,砒素,セレンの初期含有量9.3 mg/kg,0.1 mg/kg未満,0.1 mg/kg未満は実験終了後7.3 mg/kg,0.1 mg/kg,0.6 mg/kgとなった.これらのことからアルカリ性の水に含まれる六価クロムの浄化に植物繊維を適用できることが分かった. |