「景観法」や景観アセスメントの本格導入など道路における良好な景観形成が重要となっている。また、「観光立国推進基本法」が2007年1月に施行され、国や自治体は観光振興を図るために良好な環境や景観の保全が責務とされた。しかし道路などの社会資本は本来「用・強・美」を備えてはじめて真に価値あるものとなるのである。一方、北海道では、シーニックバイウェイ北海道の本格展開による沿道景観の保全・向上の取組、世界自然遺産の知床や2008年7月の北海道洞爺湖サミットの開催など、良好な景観形成は重要な課題となっている。また、四季折々の美しく雄大な景観や豊かな自然環境などを求め、近年、国内はもとより海外からの観光客が多数訪れ、観光振興が極めて重要な位置づけとなっている。特に北海道の郊外には世界レベルの美しい自然景観や農村景観をドライブしながら眺め、楽しみ、感動することの出来る道路が多く存在することから、これら地域資源を活かした道づくりが重要である。しかしながら、視対象となる美しい景観と視点場となる道路との間には様々な人工物が存在しており、結果として道路の魅力を損ね、残念な景観となっている箇所も多い。従って、道路の周囲に広がる美しい景観の阻害となる要因を取り除くことが道路景観の向上に有効である。本研究では、魅力ある北海道の道路景観を保全・創出するため、その阻害要因となる道路付属施設を機能性や安全性、さらにコストも考慮した上で減少させることを目指している。これを" 引き算による景観創出" と定義しており、これまで道路付属施設等に関する具体的な景観向上策を検討している。その一つとして、北海道の郊外部における道路案内標識の設置方式について、景観、コスト、安全面で有利となる路側式を提案してきた。しかし、その機能性については明らかにしていなかった。本報告では、一般的な片持式と景観向上策として提案した路側式との違いによる機能性について、アイマークレコーダを用いた被験者走行実験を行い、比較検証した結果について述べる。 |